『博士の愛した数式』、観ました。
『博士の愛した数式』、映画館で観ました。
シングルマザーの家政婦・杏子が、事故で記憶が80分しかもたない数学博士の
もとへ派遣される。彼の純情で温かな心に触れた杏子は、「√(ルート)」と
呼ばれた10歳の息子と共に、少しずつ博士と心を通わせていく……。
観終わって、優しい心に満たされる…、温かい心に包まれる…。そんな素敵な
作品だった。この映画を評価するのに、言葉はいらない。いや、言葉に出来ない。
まっさらな気持ちで観て、ありのままを“心”で感じれば良い。今、ボクたちの
周りに山積(さんせき)している問題は、虐待も…、教育も…、争いも…、
実は、我々が知らず知らずのうちに“自分自身”を見失い、何処かに“善意”を
置き去りにしてしまったからではないのだろうか‥‥。例えば、僅か80分の
時間の幅を行ったり来たり…、幾度その記憶のすべてが消え去ろうとも、決して
“豊かな心”だけは忘れなかった博士のように…、人が本当に“人間らしく
生きる”とは??、そのために“何が必要”なのか??、この映画は無言のうちに
ボクたちへ、優しく語り掛けているようだった‥‥。
さて、今作監督は、黒澤明の助監督を経て、これが3作品目となる小泉堯史。
観終わったボクが感じたことは、やはり小泉作品の根幹にしっかりと脈打って
いるのは、(師匠である)“黒澤明”なのだということ。勿論、それは“技術”を
伝授されただとか、“スタイル”を真似ただとか、そういった類のものではなく、
もっと内面的な“人の心”という部分の影響だ。例えば、黒澤明遺作となる
『まあだだよ』では、教師と生徒の交流を描きつつも、教師が生徒に学問を
教える場面は存在しない。そこでの教師は生徒にとって、常に“心の師匠”で
あり続けるのだ。そして、今作『博士の愛した数式』でも、主人公の博士が
“ルート”少年に…、また教師となったルートがその生徒に対して…、授業で
数学の数式を教えるというよりも、むしろ、数学の魅力や数式の美しさについて
語っている。[教師]とは、一人の“教育者”である前に、一人の“人格者”で
なければならない。思うに、今の教育で一番欠如しているものは、この部分では
ないのかな。この映画で、博士は少年に“1の定義”にたっぷり時間を割いて
説明する。“1”を知らぬ者が“10”を知ることは出来ない。そして、100も、
1000も、100000000も、その始まりは常に“1”だということを、ボクたちは
忘れちゃいけないんだね。ラストシーン、授業を終えたルート教師に何処からか
「先生、ありがとう」の声が聞こえてくる。それは、たった“一人の声”だった。
しかし、数の大小ではない、スピードでもない。一人でも“その心を動かすこと”、、
それが“教育”なんだとボクは思う。

肯定的映画評論室(本店) http://homepage2.nifty.com/aff~movies/
| Permalink
TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/88020/8301878
Listed below are links to weblogs that reference 『博士の愛した数式』、観ました。:
» 博士の愛した数式 [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
この作品は小川洋子作の「第一回本屋大賞」を受賞した話題の同名小説を映画化した作品です。
主人公の天才数学者「博士」は、交通事故による記憶障害のため、80分しか記憶がもちません。何を話していいかわからず混乱した時には、言葉の代わりに数字を持ち出します。博士の元で... [Read More]
Tracked on January 23, 2006 at 11:48 PM
» ナルニア国物語 ライオンと魔女 [映画館で見逃しても・・・]
○映画の世界を旅しよう→人気blogランキング
←こちらから
いま、アメリカで大人気の映画を観ました。
原作本はロード・オブ・ザ・リングのトールキンと同時代。
ディズニー映画なのでロードと比べると明るい感じ。ファンタジー色が強くネバーエンディングストーリーのよ... [Read More]
Tracked on January 25, 2006 at 10:41 AM
» 「博士の愛した数式」 [Bizarre Bizarre]
とてもよかったです。
優しさがそこにあるのに、そうとは強く自己主張しない。控えめで謙虚で、でもたしかに優しさにあふれた映画でした。
原作を読んだ時の印象とは違っていましたが、原作の小説と映画を比較する事は無意味だと思われるので、割愛。
冬から春へ...... [Read More]
Tracked on January 26, 2006 at 12:30 AM
» 博士に教わった友愛数は英語でも友愛でした [Spotlight 英語で歩く、噂の現場-Scanworld-英語を学ぶきっかけ探し『世界、ちょいびき!』]
博士の記憶は80分しかもたない。そう始まる物語は、私たちに、見えない「真実」の美しさを教えてくれます。「君の靴のサイズはいくつかね」 「・・・24です。」「ほお、実に潔い数字だ」 潔いなんて・・何をもってそんな表現をするんですかね。「4の階乗だ」・・そんなこと言われても困ります(笑)。しかし、博士はいつも数字を用いながら、人を誉めるんです。いいところを見つけようとするんです。記憶が80分しかもたない博士にとって、数字を介したコミュニケーションは、人とお付き合いするときの重要...... [Read More]
Tracked on January 27, 2006 at 03:24 AM
» 【劇場鑑賞7】博士の愛した数式 [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
220:1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284
220=142+71+4+2+1:284
・・・友愛数だ
神の計らいを受けた、絆で結ばれた数字なんだ。
私とルートにとって
博士と過ごしすひとときは
本当に、大切な時間でした・・・
... [Read More]
Tracked on January 31, 2006 at 01:38 AM
» 博士の愛した数式 [空想俳人日記]
数式に 見えない心も 見えてくる
なんてったって、吉岡ルート先生の授業は最高である。数学の教師である彼が担当するクラスの一年間の初めの授業にこんな話をしてくれるのは最高だ。自分がルートという仇名も含めた自己紹介をする最初の授業、それがこの映画、物語の全... [Read More]
Tracked on January 31, 2006 at 10:14 PM
» 『博士の愛した数式』売上No.1に [Aliiyブログ]
博士の愛した数式
小川 洋子
今日のランチはイタリアンのブッフェでした。
女性ばかりの『Aliiy』編集部のお昼は、結構華やかで開拓しまくり中です。
こんにちは〜。今週末はプライベートで映画を見に行く予定のHIROMIです。
久しぶりに一般の劇場です。
近年は邦画人気で、日本の映画界は売上をどんどん伸ばしています。
昨年も邦画人気が高く、興行収入もランキング上位の邦画率があがりました。
現在も三谷幸喜監督の『THE有頂天ホテル』、自衛隊... [Read More]
Tracked on February 01, 2006 at 04:30 PM
» 「博士の愛した数式」√をやさしく抱きしめる [soramove]
「博士の愛した数式」★★★☆
深津絵里、寺尾聡 主演
昨年買って
まだ読んでいなかった原作本を
深夜に読みきり、
翌日映画鑑賞。
本を読んでいるときも、家政婦さんは
深津絵里、博士は寺尾聡で読んでいた。
そして映画、
ちょっと背広のメモが少なく、...... [Read More]
Tracked on February 07, 2006 at 06:29 PM
» 博士の愛した数式('05) [LA SPECTATRICE]
シングルマザーのルートの母杏子は、事故の後遺症で記憶が80分しかもたないという数学博士の家政婦となる。彼女に幼い息子がいることを知った博士は、放課後は家へ来るようにいう。博士と杏子、ルートは次第に距離を縮めていくのだが…。
小川洋子原作のベ... [Read More]
Tracked on February 14, 2006 at 03:16 PM
Comments