『ハウルの動く城』、観ました。
『ハウルの動く城』、観ました。
19世紀末欧州、魔法と科学が混在する世界。ある日、18歳の少女ソフィーは
“荒地の魔女”に呪いをかけられ、90歳の老婆になってしまう。荒地に向かった
彼女は、魔法使いハウルの4本足で歩く“動く城”に乗り込むのだが…。
待望の宮崎アニメ最新作、興行的には改めて“ジブリ神話”の健在ぶりを
実証したわけなのだが、どうも評判の方は今ひとつパッとしない模様で、
期待が半分、不安が半分。ならば、早速、オイラの評価を言わせてもらうと、
可もなく不可もなく…。世間一般に言われてるような“駄作”ではないと
思うが、やはり絶頂期の宮崎アニメと比べれば、やや見劣りしちゃうのも
否めない。まぁ、これはボクがいつも言うことなんだけど、映画監督に限らず、
ものを作り続ける人というのは、その年齢とともに“好み”も“作風”も
次第に変化していくのは自然の流れ。例えば、この宮崎駿監督でいうと
『トトロ』や『ラピュタ』の頃は、自分の思い描いた“理想の世界観”が
アタマにあって、それを素直に“映像”にして表現していたと思うんだ。
でも、どうなんだろう‥‥、『もののけ姫』くらいあたりから、今の自分が
言いたいこと‥‥つまり、“メッセージ性”が先行して、ストーリーと映像が
その後ろから追っかけているような印象を受ける。で、今作『ハウル』では
「精神の若さと肉体の衰え」「外見の美しさと内面の醜さ」が大きなテーマに
なっていると思うのだが、何故か「戦争」を絡めてしまって、スケールだけが
大きくなり、“本来のテーマ”が見え辛くなっている。むしろ、ここでは
心を閉ざしてしまったハウルと、その哀しみについて、もっと時間を割いて
描くべきだったんだと、ボクは思うけどね。
次に、ボクが観ながら感じたのは、果たしてこの映画を子供たちが観て、
どこまで理解出来るのかなってこと。場面場面によって少女や老婆に姿を
変えるヒロインや、城の階段を登りながら年老いていく魔女の姿、ヒロインが
扉を開けてハウルの過去を見る場面などなど…、非常に複雑で、高度な
描き方をしている。恐らく、宮崎監督からしてみれば“大人にも通用する
アニメ”を作るんだという、彼なりの“プライド”だったに違いない。いや、むしろ、
それはこの映画で、宮崎監督がボクら大人に出した“宿題”なのかもしれない。
子供達から「何故??、どうして??」と聞かれた時に、「ソフィー婆さんはね、
“恋”をしたから若くなったのよ」とか、「城の階段は“人生”と一緒なの…、
ゆっくりでも一歩一歩“自分の足”で登らなくちゃいけないの。悪い魔女は
魔法にばかり頼っていたから、登れなくて老婆になったのよ」って、教えて
あげなくちゃいけない。それがこの映画で、宮崎駿からボクら大人に託された
“大切な役目”なんだと思う。
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Comments
こんばんは。
ひとの見方はさまざまですが、僕は『もののけ』『千尋』『ハウル』の3部作は、宮崎作品の中でも傑出していると思います。これ以前の作品は、みんな同じパターンにはまってつまらないし、オタクに売るためのコビを感じる。3部作だけがパターンを壊している。現実に向き合っている。「売るため」でないつくりになってると思いますよ。
またハウルの苦しみと孤独はただの「自閉」ではなく、「世界と戦っている」ためでしょう。彼が世界と戦う理由は、この世界が愚かで戦争している-ということなのだから、この作品から戦争を抜くことはできないと思いますが。
Posted by: 弓木 | November 26, 2005 at 03:48 AM
弓木さん、
コメント、ありがとうございます。
> またハウルの苦しみと孤独はただの「自閉」ではなく、
> 「世界と戦っている」ためでしょう。彼が世界と戦う理由は、
> この世界が愚かで戦争している-ということなのだから、
ハイ、それはボクにも分かります。
しかし‥‥
ハウルが何故、戦争を憎むのか、
彼は何故、そこまでして世界と戦うのか、
その“急所”となる部分が描かれてないと思うのです‥‥
いや、描かれているのかもしれませんが、
いまひとつ弱いかなと‥‥。
ただ、これは弓木さんも仰っているように
映画の観方は人それぞれ…
互いに「描かれている」、「いや、描かれていない」と
言い合ったって、意味のないこと‥‥
結局のところ、水掛け論だと思います。
この論争(?)はひとまず決着ということで如何でしょうか。
最後に、誤解のないように言わせてもらうと、
ボクは、この『ハウル』を悪い映画ではないと思っています。
ただ、これまでの宮崎作品があまりに素晴らしいので、
やや見劣りするということです。
で、ボクは『トトロ』が一番好きなのですが、
『トトロ』の凄さは、「環境破壊」とか
「自然との共存」とかいったキーワードを一切使わずに
我々が“豊かな生活”と引き換えに“失ってしまった大切なもの”を
表現している点です。素晴らしい映画だと思いますよ。
Posted by: きのこスパ | November 26, 2005 at 08:54 AM
こんばんは。
自分も反戦メッセージは唐突な印象を受けましたね、あの展開にはむしろ必要性があったのかどうか。原作にもない部分なので明らかに宮崎監督の考え方でしょうね。
個人的には「心臓」(=「魂、心」)を取り戻す、或いは「人を愛する」という心の部分に視点を向けてもう少し掘り下げて欲しかったように思います。確かに仰る通りもののけ辺りからメッセージ性が強過ぎて作品全体が窮屈に感じられますね。
Posted by: lin | November 27, 2005 at 08:22 PM
linさん、
コメント、どうもです。
> 原作にもない部分なので
> 明らかに宮崎監督の考え方でしょうね。
そうなんですか‥‥
で、実は昨日、そこが気になって調べてみたら、
当初、この『ハウル』は予定していた監督さんが降りたために、
急遽、宮崎監督が引き受けたらしいです。
となると、宮崎監督は、本当にこの映画を
撮りたかったのかどうかも疑問が出てくるところ。
しかし、宮崎監督は年齢的にも残された時間は少なくて、
もしかしたら、この『ハウル』が最後になるかもしれない。
そこで無理矢理、“反戦”のテーマを盛り込んだのでは??
勿論、それはボクの勝手な推測ですが‥‥。
> もののけ辺りからメッセージ性が強過ぎて
> 作品全体が窮屈に感じられますね。
確かに、ボクもそう思います。
ただ、だからといってボクは『もののけ』以降の宮崎アニメが
嫌いというわけではなくて、これも自然の流れなのかなと‥。
事実、黒澤明だって…、チャップリンだって…、
晩年の作品は“説教くさい”と言われてたしね。
彼らの気持ちというのは、自分がその年齢になってみないと
分からないのかと‥‥。
ちなみにボクは、晩年の黒澤作品って物凄く評価してますよ。
Posted by: きのこスパ | November 28, 2005 at 09:16 PM
皆さんこんにちは。
私は日本語を勉強している外国人です。大卒論を「宮崎駿のアニメー
ションについて」書きたいんですけど、「幅が広すぎるよ」といわれま
した。どの角度から書いたらいいのか、大変悩んでいます。
皆さん、いい意見があれば、教えていただきませんか?
Posted by: | December 07, 2005 at 04:08 PM
はじめまして、外国人さん(?)。
コメント、ありがとうございます。
> 大卒論を「宮崎駿のアニメーションについて」
> 書きたいんですけど、「幅が広すぎるよ」といわれました。
確かに、幅が広すぎるかもしれませんね。
宮崎アニメは作品ごとに、反戦、環境、人間的成長、愛などなど‥‥
それぞれテーマが違っていますから、
自分で好きな一作品を選んで、書いてみたら如何でしょうか。
ボクの経験からすれば、
宮崎アニメは、テーマがハッキリしてて分かりやすいから、
映画のレビューはホントに書き易いです。
そうだなぁ、他の監督の映画と比べて、半分くらいの時間で、
倍くらいの長さの感想が書けちゃうかな。
Posted by: きのこスパ | December 07, 2005 at 11:10 PM